2013年7月6日土曜日

『オブリビオン』(Oblivion) トム・クルーズはこうでなきゃ

トム・クルーズの主演映画で、一番好きなものはなんだろう?
私の場合、それは『ザ・エージェント』Jerry Maguire)である。
この映画の中のトムは、スポーツが好きで仕事も好きで、野心も夢もあり、傲慢で短気で、友情に誠実で深い愛もあり、勇気もおびえも迷うことも決断力もあり・・・なんというか、フツーの男なんである。
アメリカン・ドリームな映画で何がフツーかという向きもあろうが、欠点も良いところも両方あり、その間をふらふらしたりしている姿は、フツー以外の何物でもない。
そしてそのフツーの男が困難を乗り越え、アメリカン・ドリーム(成功と家族)を手に入れる。
この映画でのトム・クルーズは、アメリカのもっとも良い姿の典型だ。
そもそもトム・クルーズの演じる男たちは、みんな善きアメリカ人の姿が投影されている。
長所も、そして短所も。

前置きが長くなったが、『オブリビオン』である。
『ザ・エージェント』から20年近くたったいま、私は、一番好きなトム作品は『オブリビオン』と答えられる。
『オブリビオン』は、SFとしてはクラシックな作品だ。そしてトムの出演作としては、私が勝手に名付けたところの<トムのための映画>に分類されるだろう。
いつかどこかでみたような映像、物語、いつものトム、たしかにそうだが、このジョセフ・コシンスキー監督は私と同年である。
彼が影響を受けた作品は、おそらく私も見ている。SFも、トムの映画も。
だから分かるような気がする。
この人は、好きなのだ。自分の見てきたSFと、トム・クルーズが。
そしてこの人が好きだと思うSFとトムが、私の好きなそれらと似通っていて、映画を見ている間がとても幸せな気分になった。
この映画には、善きアメリカ人のトムがいる。
冷徹に考えれば欠点だらけのアメリカなんだが、それでも私は善きアメリカが好きだ。
『オブリビオン』のトムには、私がこうあってほしいと思うアメリカの姿が詰まっている。
そしてそんなアメリカは、今のご時世、もうSFでしか描けないようにも思う。

トム・クルーズって、もしかしたら、現代版のゲイリー・クーパーかもしんない。
褒めすぎかしらん?

↑"Touch Down!"ってはしゃぐトムが好きだ

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